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「SIerやめとけ」の真相:プロダクトマネージャーが語る、業界構造とキャリアのリアル

最終更新日:

2024年10月7日

ライター:

PM Career編集部

転職・キャリア情報

「SIerやめとけ」の真相:プロダクトマネージャーが語る、業界構造とキャリアのリアルのサムネイル

「SIerやめとけ」という言葉を耳にしたことはありませんか?

近年、IT業界への関心が高まる一方で、SIerに対するネガティブなイメージが広がっているのも事実です。 特に、プロダクトマネージャーへの転職を志す人にとって、SIerの経験が不利になるのではないかと不安に感じることがあるかもしれません。

そこでこの記事では、「SIerやめとけ」の真相に迫ります。SIerのビジネスモデルや働き方、キャリアパスを紐解きながら、プロダクトマネージャーへの転職を検討する上で知っておくべきポイントを解説します。

「SIerやめとけ」は本当?その理由を徹底解説

近年、SIer業界は、長時間労働や低賃金といった問題が取り沙汰され、厳しい状況に置かれていると言われています。しかし、実際にはSIerで働くメリットも存在します。

一体なぜSIerは「やめとけ」といわれるのでしょうか?

SIerのビジネスモデルと「SIerやめとけ」の関係性

SIerとは、System Integration(システムインテグレーション)を略した言葉で、企業や組織のシステム構築を請け負う企業を指します。顧客の要望に応じて、システムの設計から開発、導入、運用、保守までを一貫して提供するのが特徴です。

しかし、このビジネスモデルが「SIerやめとけ」と言われる原因の一つとなっています。SIerのビジネスモデルは、一般的に以下のような特徴があります。

特徴

解説

多重下請け構造

  • 大規模なシステム開発の場合、複数のSIerが階層的にプロジェクトに関わる多重下請け構造が一般的

  • 実際に手を動かすエンジニアは、プロジェクト全体像が見えにくく、顧客との距離も遠いという状況になりがち

受託開発が中心

  • 顧客から依頼を受けてシステム開発を行う受託開発が中心

  • 開発するシステムや技術は顧客の意向に左右され、自社製品開発や新規事業開発に携わる機会が限られる

長時間労働になりやすい

  • 顧客の要望に応えるために、納期が厳しいプロジェクトや、想定外のトラブルが発生するケースも少なくない

  • 長時間労働や休日出勤を強いられるなど、ワークライフバランスが崩れやすい傾向

これらの特徴から、SIerでは、個々のエンジニアの裁量が少なく、新しい技術やスキルを身につける機会が限られている、と感じる人もいるようです。また、長時間労働や休日出勤が多いなど、労働環境の厳しさも指摘されています。

これらの点が、「SIerやめとけ」と言われる要因の一つと考えられます。

SIerで働くメリット・デメリットを現役プロダクトマネージャーが解説

もちろん、SIerにもメリットはあります。SIerで働くメリット・デメリットをまとめました。

メリット

説明

大規模プロジェクトに携われる

数千億円規模のシステム開発や、社会インフラを支えるシステム構築など、大規模プロジェクトに携われるため、自身の成長に繋がる経験を積むことが可能です。

幅広い業界知識が身につく

金融、製造、流通、公共など、様々な業界のシステム開発に携わることで、それぞれの業界の業務知識や課題を深く理解できます。

安定性が高い

社会インフラを支えるシステム開発や、基幹システムの保守・運用など、安定した需要が見込めるため、また取引先も多いため、長期的に安定した働き方ができます。

SIerは、大規模なプロジェクトに携われるため、幅広い知識や経験を積むことが可能です。また、多くの企業と取引があるため、安定性が高いというメリットもあります。

デメリット

説明

多重下請け構造で、上流工程に携われないことが多い

SIerでは、顧客から直接受注する元請け企業と、その元請けから仕事を受注する下請け企業、さらにその下請けから仕事を受注する孫請け企業といったように、複数段階の下請け構造が一般的です。そのため、下請け企業に所属するエンジニアは、顧客の要望を直接聞き取る上流工程に携わる機会が少なく、設計や開発といった下流工程の作業に限定されることが多いです。

専門スキルを深掘りしにくい

顧客の要望に応じて様々なシステム開発を行うため、エンジニアは幅広い技術を扱わなければなりません。そのため、特定の専門分野に特化してスキルを深掘りすることが難しく、常に新しい技術を学び続ける必要があり、スキルアップには時間がかかります。

給与水準が低い傾向がある

下請け構造が複雑なため、顧客から発注される金額が下請け企業に渡るまでに、段階的に減額されていきます。そのため、下請け企業に所属するエンジニアの給与水準は、元請け企業に比べて低くなる傾向があります。また、成果に基づく報酬制度が導入されている企業は少なく、年功序列型の賃金体系を採用している企業も多いことから、経験年数に比べて給与が低いと感じることがあります。

一方で、多重下請け構造であるがゆえに、上流工程に携わることができず、技術的なスキルを身につけるのが難しいという側面もあります。さらに、近年は給与水準の低さも指摘されています。

SIerからのキャリアパスとよくある悩み

SIerからのキャリアパスは、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなど、多岐にわたります。しかし、近年では、従来型のキャリアパスに疑問を抱き、転職を検討する人も少なくありません。

SIerでよくある悩みとして、以下のような点が挙げられます。

  • 顧客の要望に振り回され、自分のアイデアを活かせない

  • 新しい技術を学ぶ機会が少なく、市場価値が低いと感じる

  • 長時間労働や休日出勤が多く、ワークライフバランスが崩れている

これらの悩みを抱えているSIerのエンジニアには、プロダクト開発に携わりたい、自分のスキルを活かして社会に貢献したい、といった思いから、プロダクトマネージャーへの転職を検討するケースが見られます。

SIerからプロダクトマネージャーへ転職できる?

プロダクトマネージャーとしてのキャリアを考える際、特にSIerとしての経験がある人にとっては、その知識やスキルをどのように活かすかが鍵となります。

プロダクトマネージャーの役割と責任

プロダクトマネージャーは、ユーザーニーズや市場動向を分析し、プロダクトのビジョンを策定し、開発チームをリードしてプロダクトを開発・改善していく役割を担います。

SIerのように顧客の要望に沿ってシステムを開発するのではなく、ユーザーにとって本当に価値のあるプロダクトを創り出すことが求められるのです。具体的には、以下の責任を負います。

役割

内容

ユーザーニーズの調査と分析

市場調査やユーザーインタビューを通じて、ユーザーのニーズや課題を深く理解する

プロダクトビジョンの策定

ユーザーニーズに基づき、プロダクトの長期的なビジョンを明確に定義する

プロダクトロードマップの作成

ビジョンを実現するために、プロダクトの開発スケジュールやリリース計画を策定する

開発チームのリード

開発チームと連携し、プロダクト開発を推進する

プロダクトの品質管理

プロダクトの品質基準を定め、開発チームがそれを満たすよう管理する

プロダクトのマーケティングと販売

プロダクトのローンチ戦略を立案し、マーケティング活動や販売活動を行う

プロダクトの改善

ユーザーフィードバックや市場動向に基づき、プロダクトを継続的に改善する

プロダクトマネージャーは、ユーザー、開発チーム、経営陣など、様々な関係者と連携しながら、プロダクトの成功に貢献する重要な役割を担います。

プロダクトマネージャーに必要なスキル・経験

プロダクトマネージャーには、ITの知識だけでなく、マーケティング、ビジネス、デザインなど、幅広い知識やスキルが求められます。単に技術的な知識を持つだけでなく、ユーザーや市場を深く理解し、ビジネス視点でプロダクトを成功に導くための総合的な能力が必要です。

具体的には、以下のようなスキルが挙げられます。

スキル

説明

市場分析力

顧客のニーズや競合製品、市場トレンドを分析し、プロダクトの方向性を決定する

ユーザーニーズの把握

顧客の声に耳を傾け、潜在的なニーズや課題を理解する

プロダクト企画力

ユーザーニーズに基づき、魅力的で価値のあるプロダクトを企画する

コミュニケーション能力

開発チーム、デザイナー、マーケティングチームなど、様々な関係者と円滑にコミュニケーションを取り、プロジェクトを推進する

プロジェクトマネジメント力

プロジェクトのスケジュール、予算、品質管理など、全体を統括する

プロダクトマネージャーのキャリアパスと将来性

プロダクトマネージャーのキャリアパスは、経験やスキル、志向性によって実に多岐にわたります。例えば、以下のような道筋が考えられます。

  • 専門特化型:特定の分野(例:金融、医療、ゲームなど)に特化したプロダクトマネージャーとして、深い知識と経験を積める

  • マネジメント志向型:プロダクト開発チームを率いるリーダーとなり、組織全体の目標達成に貢献する

  • 起業家志向型:自身のアイデアを形にするため、起業してプロダクト開発やビジネスを牽引する

特にIT業界においては、プロダクトマネージャーの需要は高まっており、将来性のある職業といえるでしょう。常に変化し続ける技術革新に対応し、ユーザーニーズを深く理解しながら、優れたプロダクトを生み出すことが求められます。

そのため、プロダクトマネージャーには、高いコミュニケーション能力、問題解決能力、そしてリーダーシップが求められるのです。

SIerからプロダクトマネージャーになるには?

SIerからプロダクトマネージャーに転職するためには、積極的にプロダクト開発に携わることができる環境に身を置くことが重要です。具体的には、以下の2つの方法が考えられます。

1. 自社開発企業への転職

  • 自社製品を持つ企業では、プロダクトマネージャーとして製品企画、開発、マーケティングなど、幅広い業務に携われる

  • 開発プロセス全体を理解し、ユーザーのニーズを深く理解した上で、プロダクトの戦略を立案できる

2. 新規事業開発部門への異動

  • SIerの中には、新規事業開発部門を持つ企業もある

  • 既存事業とは異なる新しいプロダクト開発に携わることで、プロダクトマネジメントの経験を積める

転職や異動以外にも、以下の方法でプロダクトマネジメントスキルを磨けます。

3. 自主的な学習

  • プロダクトマネジメントに関する勉強会やセミナーに参加したり、関連書籍を読んだりすることで、最新の知識や技術を習得する

  • オンライン学習サービスを利用するのも効果的

SIerでの経験は、プロダクト開発におけるシステム設計や開発プロセスに関する知識を身につけるのに役立ちます。これらの経験を活かし、積極的にプロダクト開発に関わることで、プロダクトマネージャーへの転職を成功させましょう。

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【徹底比較】SIerとプロダクトマネージャー、結局どっちが向いている?

SIerとプロダクトマネージャー、それぞれの特徴を理解した上で、どちらの職業が自分に合っているのか、改めて考えてみましょう。

項目

SIer

プロダクトマネージャー

仕事内容

顧客の要望に基づいたシステム開発

ユーザーニーズに基づいたプロダクト開発

やりがい

大規模プロジェクトへの貢献

世の中にインパクトを与えるプロダクト開発

必要なスキル

技術力、コミュニケーション能力

市場分析力、プロダクト企画力、コミュニケーション能力

キャリアパス

プロジェクトマネージャー、ITコンサルタント

シニアプロダクトマネージャー、プロダクト責任者、起業

労働環境

長時間労働になりやすい

企業やプロダクトによる

SIerは、大規模なプロジェクトに携わることができるため、社会貢献性の高い仕事に就きたいという人に向いています。また、安定性を重視する人にも適しているでしょう。

一方、プロダクトマネージャーは、自分のアイデアを形にし、世の中にインパクトを与えたいという人に向いています。また、常に新しいことを学び、成長し続けたいという人にも適しているでしょう。

SIerに関するよくある質問

SIerに関して、よく聞かれる質問をまとめました。

Q. Slerで働きながらプロダクトマネージャーになるための準備は?

業務外で個人開発を行う、プロダクトマネジメントの勉強会に参加する、などを通して経験を積むことが重要です。転職活動では、SIerでの経験をどのようにプロダクトマネージャーの仕事に活かせるのかを具体的に説明できるように準備しておきましょう。

Q. プロダクトマネージャーへの転職に有利なSIerの経験は?

ユーザーに近い立場で要件定義や設計に携わった経験、プロジェクトの進捗管理やチームリーダーの経験は、プロダクトマネージャーの仕事に活かせる可能性があります。これらの経験をアピールできるよう、職務経歴書などを工夫してみましょう。

まとめ|自分に合ったキャリアを見つけよう!

「SIerやめとけ」という言葉は、必ずしもすべてのSIer社員に当てはまるわけではありません。SIerで働くメリットもあれば、デメリットもあります。重要なのは、自分自身のキャリアプランや価値観と照らし合わせ、本当に自分に合った働き方を選択することです。

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