メルカリのプロダクトマネージャー採用動向とプロダクトの全体像【2025年最新版】
最終更新日:
2025年6月2日
ライター:
PM Career編集部
プロダクトマネージャー転職

この記事の監修者
佐々木真
PM Career事業責任者(Xアカウント @shin_sasaki19)
株式会社リクルートにて「スタディサプリ」の初期メンバーとして事業開発・プロダクトマネージャー業を担当し全国展開を達成後、SmartHRのグループ会社としてToB向けSaaS「SmartMeeting」を立ち上げ2021年3月に退任。その後PMオンラインスクール「PM School」、プロダクト開発人材の転職サイト「PM Career」の事業を運営中。プロダクト開発の知見・人材の流動性を高め、日本のプロダクト作りをぶち上げるべく尽力中。個人としてもX(Twitter)アカウントのフォロワーは3万人超え、YouTubeやPodcastでもプロダクト開発のコンテンツを発信する日本で最も有名なプロダクト開発者の1人。
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メルカリへのプロダクトマネージャー転職ガイド【2025年版】
メルカリのプロダクトマネージャー採用動向
- 募集領域の強化: メルカリでは引き続きフィンテック領域(メルペイ関連の決済・与信サービス)、グローバル展開(越境取引など)の人材需要が高い。特にメルペイでは決済・融資プラットフォーム系PdM、メルカリ ハロ(労働マッチング)ではBtoB基盤担当PdMなどの募集が見られる。また、生成AI/機械学習活用やBtoB SaaS経験を持つ人材も歓迎されている。
- 職種別・中途比率: プロダクト・ビジネス系職が中途採用の中心で、2023年度は新卒入社約12%、中途約88%と中途比率が非常に高い。提示年収はおおむね900万~1,500万円レンジで、PdM経験(1年以上)やエンジニア・デザイナーとの協業経験が要件とされる。企業ミッション・バリューへの適合性も重要視される。
- 組織・人材要件: 最近では、エンジニアと同様に高度専門職向けの「Principal制度」を導入し、スペシャリストキャリアの明確化を図っている。これに伴い、PdMにもエキスパート・マネジメント両方のキャリアパスが整備された。求められるスキルとしては、Fintech領域の知見やBtoB SaaSの経験、機械学習を含むデータ活用経験などが歓迎されている。
- 選考フロー・通過率: 選考プロセスは一般的なIT企業同様で、書類選考→一次面接(PdM部門マネージャー+人事)→最終面接(部門責任者+人事)の流れが基本。書類通過率は約4~5%と低く、一次面接では職歴・KPI達成経験・技術知識・志望動機(「なぜメルカリか」)が深掘りされる。場合によりケース面接(KPI改善策等)を実施し、最終面接では責任者が難易度の高い意思決定経験や失敗からの学びなどを重視する。。選考期間は通常1~2ヶ月で、内定時には年俸レンジ・職位・ストックオプションなどが提示される。
- 採用チャネル: 自社採用サイトや社員紹介(リファラル)が主要チャネルである一方、近年は人材紹介会社経由の採用も増加している。ある企業の例では自社HP+リファラルが約45%、エージェント採用が45%、ダイレクトリクルーティング(SNSやスカウト)は月10~20件程度と報告されており、メルカリでも同様に複数経路を併用していると考えられる。役職やスキルに応じてヘッドハンティングや求人媒体も適宜利用される。
メルカリの主要サービス・注力プロダクト
- メルカリ(フリマアプリ): 国内最大級のCtoCマーケットプレイスで、月間アクティブユーザー約2,300万人、四半期GMV(取引総額)は約1兆円超と巨額な規模を誇る。本人確認済ユーザーは約1,600万人を超え、2024年9月時点の累計出品数は40億点以上に達している。ユーザー体験向上のため、5月にはパスキー認証導入、AI機能搭載(出品画像からの商品名自動補完など)、快適な匿名配送サービスなど、安心・便利なUI/UX整備にも注力している。PdMは出品〜購入〜配送まで一連のプロセス改善や新機能開発を担当し、エンジニア・デザイナー・データ分析担当らと連携しながらKPI(流通額・利用者数など)の成長を牽引している。
- メルペイ(FinTech): メルカリアプリ内のスマホ決済・与信サービスで、2024年6月末時点の登録ユーザー数は1,788万人(本人確認済みが90%超)。メルカリ残高による前払いや後払い(コード決済、ネット決済、メルペイスマート払い・スマートマネー)、クレジットカード「メルカード」の発行(340万枚超)などを提供し、日常決済のフィンテック基盤を構築している。最近は給与即時入金サービスやAIを活用した与信モデルを導入し、与信精度向上と回収率改善に取り組んでいる(債権残高は決算資料で増加傾向)。PdMは決済機能やローンサービスの企画・改善を担当し、銀行等パートナーや社内開発チームと協働して収益性と利用拡大を追求する。
- メルカリShops(ショップ出店): 2022年10月に開始したBtoC型のECプラットフォーム。事業者や個人が簡単にオンラインショップを開設でき、メルカリの基盤ユーザー(約2,300万人)に自店舗の商品をアピールできる。自治体や企業の自治体出店促進施策にも採用されており、2024年度は複数の市町村が出店し総販売額1,447万円超を記録した。PdMは店舗運営支援機能(在庫管理、検索露出最適化、販促ツール等)の強化を担う。開店コンサルやパートナー連携による店舗集客もプロダクト戦略の一部となっている。
- メルコイン(暗号資産取引): メルカリ傘下の暗号資産サービスで、2023年3月にビットコイン取引、24年5月にイーサリアム取引を開始。2024年12月には口座開設ユーザー数が300万人を突破、同年の新規口座開設数(約172万口座)は国内1位を達成した。なお利用者の約9割は暗号資産未経験者であり、新規層の獲得に成功している。2025年4月からはXRPも取り扱い開始した。PdMはマーケット連携(取引所API連携)、ユーザサポート、セキュリティ・コンプライアンス対応、マーケティング施策の推進を役割とし、暗号資産市場における事業拡大を図っている。
- メルカリ ハロ(スポットワーク): 2024年1月に開始した人材マッチングサービスで、業務委託やパートタイムなどを探す労働者と中小事業者をつなぐ。2024年10月時点で登録ワーカー数は800万人超、提携店舗(現場)数は12万拠点超に達し、全国展開を加速中。ユーザーの55.5%がバイト未経験者という新規層創出も特徴となっている。PdMはワーカー・店舗双方のUX設計やマッチングロジック、報酬支払い機能などを開発し、雇用流動性の向上とサービス成長を推進している。
- 海外展開・越境取引: グローバル戦略として2024年8月から台湾在住者向けに越境取引サービスを開始し、Web版メルカリで日本の出品商品を購入可能にした。これにより2025年3月までに台湾の会員登録数が20万人を突破している。さらに2025年5月には香港でも同サービスを開始し、香港はすでにメルカリ越境取引金額・件数共に世界4位(カテゴリ別では平均購入額が極めて高い)という活発な市場となっている。これら越境施策は訪日外国人需要や輸出マーケットを取り込む狙いがある。
- AI・先端技術活用: メルカリグループではAI/LLM活用に注力しており、2023年5月にAI/LLM専任チームを設置。2023年10月には出品者向けの「メルカリAIアシスト」を導入し、売れ残り商品のタイトル・説明文を自動改善する機能を提供している。さらに2025年1月にはNFTマーケットプレイス「メルカリNFT」を開始し、ユーザーはメルカリ内からOpenSea等の人気NFTを売買できるようになった。R&D組織「Mercari R4D」では量子情報技術の研究など先端領域にも取り組んでおり、プロダクト開発全体で最新技術の社会実装を進めている。
参考資料: メルカリ公式IR・プレスリリース・採用サイト情報など