プロンプトとは？AIを操るための基本と応用をわかりやすく解説【例文付き】

この記事の監修者

佐々木真
PM Career事業責任者（Xアカウント ＠shin_sasaki19）
株式会社リクルートにて「スタディサプリ」の初期メンバーとして事業開発・プロダクトマネージャー業を担当し全国展開を達成後、SmartHRのグループ会社としてToB向けSaaS「SmartMeeting」を立ち上げ2021年3月に退任。その後PMオンラインスクール「PM School」、プロダクト開発人材の転職サイト「PM Career」の事業を運営中。プロダクト開発の知見・人材の流動性を高め、日本のプロダクト作りをぶち上げるべく尽力中。個人としてもX（Twitter）アカウントのフォロワーは3万人超え、YouTubeやPodcastでもプロダクト開発のコンテンツを発信する日本で最も有名なプロダクト開発者の1人。

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はじめに

「最近よくニュースで耳にする『生成AI』や『ChatGPT』って、なんだか難しそう」

「『プロンプトが重要』って聞くけど、そもそもプロンプトって何のこと？」

このように感じている方もいるのではないでしょうか？最先端のテクノロジーに乗り遅れたくない、業務をもっと効率化したい、という思いはあっても、専門用語ばかりでは敬遠してしまいますよね。

この記事では、AIやITが専門でない方でも理解できるよう、「プロンプト」の基本的な意味から、すぐに仕事で使える具体的な書き方のコツ、さらにはコピペで使える文例まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。

この記事を読み終える頃には、AIへの漠然とした不安は消え、プロンプトを操り、AIを頼れるアシスタントにするための第一歩を踏み出せているはずです。

そもそもプロンプトとは？AI時代に必須の教養をサクッと理解

まずは、「プロンプト」という言葉の核心に迫っていきましょう。

プロンプトの定義と役割、種類については、こちらをご覧ください。

30秒でわかる！プロンプトは日本語で言うと「AIへの指示書」

プロンプトとは、一言でいうと「生成AIに対する命令や指示」のことです。AIを「非常に優秀で物知りな新人アシスタント」だと想像してみてください。

このアシスタントは、頼めば何でもこなせるポテンシャルを持っています。しかし、ただ「よろしく」とだけ伝えても、何をすれば良いのか分からず困ってしまいます。そこで必要になるのが、具体的で分かりやすい「指示書」、それがプロンプトなのです。

私たちが普段使っている日本語で、「こういう目的で、こんな情報を使って、このようにまとめてください」と伝えることで、AIはその能力を最大限に発揮してくれます。

なぜ今「プロンプト」が重要？AIの性能を120%引き出す鍵

生成AIの技術は目覚ましく発展し、誰でも手軽に利用できるようになりました。しかし、同じAIを使っても、出てくる結果（アウトプット）の質には大きな差が生まれます。その差を生み出す決定的な要因こそが「プロンプト」の質です。

例えば、質の低いプロンプトではありきたりな回答しか得られません。しかし、質の高いプロンプトを使えば、まるで専門家が書いたような深い洞察に満ちた文章や、創造的なアイデアを生み出すことも可能です。

この差は、ビジネスにおける資料作成のスピードや企画の質に直結します。つまり、プロンプトを使いこなすスキルは、AIの性能を120%引き出し、個人の生産性を飛躍的に高めるための鍵となるのです。

【初心者あるある】コマンドプロンプトとの違いは？

「プロンプト」と聞いて、黒い画面に白い文字が並ぶ「コマンドプロンプト」を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、これらは全くの別物です。違いを理解すれば、生成AIのプロンプトがどれだけ身近なものか分かります。

このように、コマンドプロンプトが専門家向けの「機械語」であるのに対し、生成AIのプロンプトは誰もが使える「日常会話」に近いものです。決して難しいものではないので、安心してください。

良いプロンプトを作る9つのコツ【初心者でも今日からできる】

AIからの回答の質を劇的に変える、プロンプト作成のコツを紹介します。専門的な知識は一切不要です。ここに挙げる9つのポイントを意識するだけで、あなたも「AI使いの達人」に一歩近づけます。

今日からすぐに試せるものばかりなので、ぜひ実践してみてください。

コツ1：具体的かつ明確に（5W1Hを意識する）

AIへの指示は、具体的であればあるほど精度が上がります。「誰が」「誰に」「何を」「なぜ」「いつ」「どのように」といった5W1Hを意識すると、指示が明確になります。

• 悪い例

  ブログ記事を書いて

• 良い例

  あなたはプロのマーケターです。20代の女性に向けて、新発売の化粧水の魅力を伝えるブログ記事を作成してください。目的は商品の購入を促すことです。1000字程度の親しみやすいトーンでお願いします。

後者のように具体的に指示することで、AIはあなたの意図を正確に汲み取り、期待に近いアウトプットを生成してくれます。

コツ2：AIに役割（ペルソナ）を与える

AIに特定の専門家やキャラクターの役割を与えることで、回答の視点やトーンが定まり、質が向上します。これは非常に簡単で効果的なテクニックです。

• 役割指定の例

  • あなたは経験豊富な編集者です。以下の文章を校正してください。
  • あなたは世界的に有名な経営コンサルタントです。弊社の新規事業について、3つの改善点を提案してください。
  • あなたは小学生の先生です。量子コンピュータについて、子供でもわかるように説明してください。

役割を与えることで、AIはその立場になりきり、より専門的で、状況に適した回答を生成しようとします。

コツ3：文脈や背景情報を与える

AIは、あなたが置かれている状況を知りません。指示を出す際には、そのタスクが必要になった背景や前提となる情報（文脈）を伝えることが重要です。

例えば、会議の議事録要約を依頼する場合、単に録音データを渡すだけでは不十分です。「この会議の目的は来期の販売戦略を決めることです」「参加者には営業部長とマーケティングリーダーがいます」といった背景情報を加えることで、AIは重要なポイントを判断しやすくなり、より的確な要約を作成できます。

コツ4：出力形式を指定する（箇条書き、表形式など）

どのような形式で回答が欲しいかを明確に指定しましょう。これにより、後から自分で情報を整理し直す手間を大幅に削減できます。

このように出力形式を指定するだけで、情報が整理され、格段に見やすくなります。

出力形式や制約条件の指定の基本例は、こちらをご覧ください。

コツ5：手本（例）を見せる（Few-shotプロンプティング）

AIにタスクのパターンを学習させたい場合、いくつかのお手本（例）を示すと非常に効果的です。これは「フューショットプロンプティング（Few-shot Prompting）」と呼ばれるテクニックです。

例えば、特定の形式で文章を要約させたい場合、以下のように指示します。

以下の例にならって、文章を要約してください。

例1:
入力文：AIは私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。特に、文章作成や情報収集の効率化に貢献します。
要約：AIは生活を変え、業務効率化に役立つ。

本題:
入力文：（ここに要約したい文章を入力）
要約：

このように手本を示すことで、AIはあなたが求めるアウトプットのスタイルやレベルを正確に理解し、それに倣ってタスクを実行します。

コツ6：区切り文字（###など）で情報を整理する

プロンプトが長くなる場合、指示や背景情報、入力データなどが混在してしまい、AIが混乱することがあります。そこで、###や---といった記号を使って、情報のブロックを区切ると効果的です。

• 区切り文字を使った例

  ### 指示
  以下の文章を要約してください。

  ### 制約条件
  - 300字以内で記述すること。
  - 最も重要なキーワードを3つ含めること。

  ### 文章
  （ここに要約したい長文を入力）

このように情報を構造化することで、AIはプロンプトの各要素を正確に理解し、指示通りにタスクを実行しやすくなります。

コツ7：一度で完璧を目指さず、対話しながら改善する

プロンプトは一発勝負ではありません。最初の回答が期待通りでなくても、がっかりする必要はなく、そこからがスタートです。

AIとのチャットは、人間との対話と同じです。「もっと具体的に説明して」「別の視点から教えて」「その表現はもっと簡潔にして」といったように、追加の指示やフィードバックを与えることで、回答はどんどん磨かれていきます。

AIを「便利な道具」ではなく「賢い相談相手」として、対話を楽しみながら望む答えに近づけていきましょう。

コツ8：曖昧な否定形より、具体的な肯定形で指示する

AIは「～しないで」という否定的な指示よりも、「～してください」という肯定的な指示の方が得意です。否定的な指示は、意図しない結果を生むことがあります。

• 良くない例

  専門用語を使わないで説明して。

• 良い例

  小学生にもわかる平易な言葉で説明して。

後者のように、どうして欲しいのかを具体的に、肯定的な言葉で伝えることで、AIはあなたの意図をより正確に理解してくれます。

コツ9：最新のAIモデル（GPT-5など）をなるべく使う

AIモデルは日々進化しています。一般的に、新しいモデルほど日本語の理解力や論理的な思考能力が高く、不正確な情報を生成する「ハルシネーション」も起こりにくくなっています。

もしあなたが利用しているサービスでモデルを選択できるのであれば、可能な限り最新のモデル（例：GPT-5, Gemini 2.5, Claude 4など）を使いましょう。それが、手軽に高品質なアウトプットを得るための最も簡単な近道です。

ChatGPTのプランと搭載モデルの最新状況は、こちらをご覧ください。

【明日から使える】職種別・コピペOKなプロンプト文例集

理論は分かっても、実際にどう書けばいいのか分からない、という方のために、すぐに使えるプロンプトの文例を用意しました。あなたの職種や目的に合わせて、少し書き換えて使ってみてください。

文例1：メール作成（丁寧な謝罪メール、営業のアポ取りメール）

メール作成はAIの得意分野の一つです。状況を伝えるだけで、適切な文面を素早く作成してくれます。

文例2：文章作成（ブログ記事の構成案、プレスリリースの叩き台）

コンテンツ作成の初期段階でAIを活用すれば、作業時間を大幅に短縮できます。

文例3：アイデア出し（新企画のアイデア、キャッチコピー）

行き詰まった時のブレインストーミング相手としても、AIは非常に優秀です。

情報収集と要約に強いPerplexity AIの特徴と使いどころは、こちらをご覧ください。

文例4：情報収集・要約（長文レポートの要約、専門用語の解説）

膨大な情報を効率的にインプットしたい時、AIの要約能力が光ります。

文例5：データ分析（Excel関数の作成、アンケート結果の分析）

専門知識がなくても、AIに頼めば簡単なデータ分析が可能です。

もっとAIを使いこなす！有名なプロンプトの「型」入門

基本的なコツを掴んだら、次は一歩進んで、より高度なプロンプトの「型」（フレームワーク）を学んでみましょう。先人たちが作り上げたこれらの型を使うことで、複雑な指示でもAIに正確に伝え、安定して質の高い結果を引き出せるようになります。

深津式プロンプト：汎用性の高い万能テンプレート

日本のAI界隈で広く知られている、非常にシンプルで強力なテンプレートです。以下の構造に沿って情報を整理するだけで、誰でも質の高いプロンプトを作成できます。

この「型」は、AIに役割を与え、守るべきルールを明確にし、処理対象のデータを指定するという、良いプロンプトの要素を網羅しています。何を書けばいいか迷ったら、まずはこの型に当てはめてみるのがおすすめです。

ReActプロンプト：AIに「考えさせて」から行動させる

より複雑な問題解決や調査を行わせたい場合に有効な、高度なフレームワークです。ReActは「Reason（思考）」と「Act（行動）」を組み合わせた言葉で、AIに以下のようなサイクルを実行させます。

1. 思考 (Thought)：今何をすべきか、どのような手順で進めるべきかをAI自身に考えさせ、記述させる
2. 行動 (Action)：考えた結果に基づいて、具体的なタスク（例：Web検索、情報整理）を実行する
3. 観察 (Observation)：行動の結果得られた情報を確認する
4. 次の思考 (Thought)：観察結果を踏まえて、次の一手を考える

このプロセスを繰り返すことで、AIは行き当たりばったりではなく、論理的に問題解決を進めます。これにより、人間が思考の過程を追いやすくなり、複雑なタスクでも精度が格段に向上します。

ReActプロンプトの考え方とユースケースの基礎解説は、こちらをご覧ください。

プロンプト利用時の注意点とリスク対策

AIは非常に強力なツールですが、その力を安全に、そして正しく使うためには、知っておくべき注意点があります。便利な側面に目を向けるだけでなく、潜在的なリスクを理解し、適切な対策を講じることが、責任あるAIユーザーとしての第一歩です。

注意点1：個人情報や会社の機密情報は入力しない

最も重要な注意点です。あなたがプロンプトとして入力した情報は、サービス提供者によってAIモデルの学習データとして利用される可能性があります。

一度学習データとして取り込まれると、他のユーザーへの回答として、あなたの入力した情報の一部が出力されてしまうリスクがゼロではありません。氏名、住所、電話番号といった個人情報や、社外秘のプロジェクト情報、顧客データなどを絶対に入力しないようにしましょう。

特に企業で利用する際は、自社のセキュリティポリシーを必ず確認してください。

注意点2：AIの嘘（ハルシネーション）に注意！情報の裏取りは必須

AIは時として、事実に基づかない、もっともらしい嘘の情報を生成することがあります。この現象は「ハルシネーション」と呼ばれ、AIを利用する上で最も注意すべき点の一つです。

AIはインターネット上の膨大な情報から学習していますが、その元情報が間違っていたり、文脈を誤って解釈したりすることで、平然と誤った情報を生成してしまいます。

AIからの回答、特に統計データや専門的な情報、歴史的な事実などについては、決して鵜呑みにせず、信頼できる公式サイトや公的機関のレポートなどで裏付けを取る（ファクトチェック）習慣をつけましょう。

ハルシネーションの発生要因と防ぐための対策は、こちらをご覧ください。

注意点3：著作権を侵害しない使い方を心がける

AIが生成した文章や画像が、意図せずインターネット上に存在する誰かの著作物と酷似してしまう可能性があります。個人的な利用の範囲であれば問題になることは少ないですが、ブログ記事やプレゼン資料、広告など、商用目的で利用する際には特に注意が必要です。

生成されたコンテンツは、あくまで「叩き台」や「アイデアの種」として活用し、最終的には自分の言葉や表現でオリジナリティのあるものに仕上げることが、トラブルを避ける上で重要です。必要に応じて、コピペチェックツールなどを活用するのも良いでしょう。

生成物の著作権リスクと安全な商用利用のポイントは、こちらをご覧ください。

まとめ：プロンプトの使い方を習得してAI時代を切り拓こう

プロンプトとは、単なるAIへの「命令文」ではありません。それは、AIという強力な知能と協働し、自らの生産性と創造性を飛躍的に高めるための「対話の技術」です。このスキルは、これからのAI時代を生き抜く上で、ますます重要になっていくでしょう。

難しく考える必要はありません。まずはこの記事で紹介した文例を一つ、コピーして試してみてください。AIとの対話を通じて、あなたの仕事や学習がよりクリエイティブで効率的なものに変わっていく過程を、ぜひ体感してください。

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